禍津姫戦記
「たずねろ。満月の日に何が起こるのか」

「カミは答えぬ。ただ……感じる。心の目と耳に。それにいろんなにおいも。厩にいる馬たちの鼻面の濡れたにおい。蜘蛛が巣を作る音。森にいる狼の吐く息」

「もっと遠く――西に何を感じる」

「はるか遠くに禍々しい、黒い気。わからないが怖ろしい……」
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