禍津姫戦記
「西へは斥候を出した。キビやその他のクニに動きがないかも探らせつつ、戦にそなえて兵を三つの砦に集める。満月の夜は、磐座のまわりとクニ境に兵を伏せる」

 那智はしずかに目をあげた。

「その夜、磐座で何が起こるのか。それはわからぬというのですね」

「そうだ。雷が降るか、外から百万の兵が押し寄せるのか、あるいはヤギラのように呪に縛られた妖魅が襲ってくるのか、それはわからぬ」
< 554 / 647 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop