禍津姫戦記
「神宝はすべて神殿の倉におさめられておりますが、カツラギの剣だけがございませぬ」

 ハバキは顔を曇らせたものの、なかばその答えを予想していたらしく、驚かなかった。
 姫夜がいぶかしげにハバキにたずねた。

「ないとはどういうことだ? ハバキがいつも腰にはいているそれが神宝ではないのか」

 ハバキはおのれの剣を鞘ごと抜いて、姫夜に手渡した。
< 558 / 647 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop