禍津姫戦記
「本来なら、母と一緒に命を落としていても不思議はなかった。そのわたくしをそばにおいてくださったのが、イスルギさまです」

 姫夜はまじまじと那智を見つめた。なにゆえ那智がカンナギとしての力も知識も持ちながら、たった一人で薬師として働いているのか、ハバキやカリハ以外のまわりのものが、なぜ彼に敬意と畏れにも似たものを抱いているのかも、今ようやくわかった気がした。
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