禍津姫戦記
 二人は立ち止まって、中央にそびえたつ柱とそれを取り囲むように並べられた岩とを見やった。空には明星が輝き始めている。

「ここへともに来るのは、あれから初めてだな。それともそなたは、ここに独りで祈りを捧げに来ることがあったのか」

 ハバキの口調に問い詰める鋭さはなかった。

「いいや」

 姫夜は首を横にふった。
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