禍津姫戦記
「この磐座のことか」

 姫夜はうなづき、ひとことひとこと、絞り出すように云った。

「そうだ。わたしはそなたの、そなただけのカンナギになると誓った。だからワザヲギの一族の元に帰ることはない。だから――だからこそ云っておかねばならない。わたしがたとえここで消えたように見えても、必ずそなたの元に帰ってくる。そう信じて欲しい」
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