禍津姫戦記
 ハバキはぎくりとして姫夜を見た。ハバキの胸のうちで突如、歌垣の宵に感じた不安が、黒雲のように胸の内にせりあげてきた。

「消えるだと。いったいどういうことだ」

 ハバキは鋭く姫夜を見つめた。だが頭の中ではめまぐるしく、姫夜と出会った日のこと、クラトの云った西からもたらされた話とが渦巻いていた。
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