禍津姫戦記
 姫夜はハバキの手を取り、両手で握りしめ、祈るように額を押しあてた。

「消えたように見える、と云ったのだ」

「同じことだ。やはり、おまえは行くつもりなのか」

 云うより早く、ハバキは姫夜の腕を強く掴んでいた。姫夜は必死に云った。

「聞いてくれ。モモソヒメは満月の夜にここへ来いと云った。ならば向こうから来るということだ」
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