禍津姫戦記
 ハバキは一瞬、混乱したように押し黙った。

「あの女王が、危険を顧みず敵のただなかに飛びこんでくると云うのか。まさか、いったいどうやって――」

 姫夜は逆にハバキの腕をつかんだ。姫夜は苦しげに云った。

「これ以上は云えぬ。わたしの当て推量だ。だが――万が一、そうなったら、わたしがこの手でモモソヒメを送り返す。それしか厄災からこの地を守る方法はない」
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