禍津姫戦記
「先刻、手をとったときに伝わってきた。歌がクラトどのの心に響いていた」
「恋するに死するものにあらませば――か」
「そう。でも、なぜハバキがあの歌を知っている?」
ハバキは欄干に寄りかかって、すこし困ったような口調で云った。
「実はクラトに頼まれたのだ。歌垣でおくる歌がどうしてもできぬから、俺に作ってくれと」
「恋するに死するものにあらませば――か」
「そう。でも、なぜハバキがあの歌を知っている?」
ハバキは欄干に寄りかかって、すこし困ったような口調で云った。
「実はクラトに頼まれたのだ。歌垣でおくる歌がどうしてもできぬから、俺に作ってくれと」