禍津姫戦記
「先刻、手をとったときに伝わってきた。歌がクラトどのの心に響いていた」

「恋するに死するものにあらませば――か」

「そう。でも、なぜハバキがあの歌を知っている?」

 ハバキは欄干に寄りかかって、すこし困ったような口調で云った。

「実はクラトに頼まれたのだ。歌垣でおくる歌がどうしてもできぬから、俺に作ってくれと」
< 615 / 647 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop