禍津姫戦記
 姫夜は血の気の失せた顔でつぶやいた。

「なぜこんな時に。ハバキ、すぐに砦にいるカリハに知らせを――」

「待て。カリハは将だ。知らせたところで動くことはできぬ」

「アゲハはどうなる? 見殺しにするというのか。ならばわたしが探しに行く!」

「落ち着け。国境にはすでに兵たちが伏せてある。それを越えていくことはない」
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