禍津姫戦記
「ヒフミヨイムナヤコトモリロラネ、ヒフミヨイムナヤ……」

 外(と)つ国のことばのようにも聞こえる神歌に、広間はしんと、静まりかえった。
 姫夜の声がとぎれると、ハバキは石笛をくちびるにあてた。
 あたたかみのある、谷を渡る風のような音色が流れ出した。
 姫夜はその音に耳を傾けるように、目を閉ざしていたが、やがてゆっくりと舞い始めた。
 ふいに拍子が変わる。
 さっと身を翻し、東西南北、三尺四方で足を踏みしめた。
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