禍津姫戦記
 ハバキは厳しい声でいって、すぐさま小楯に命じた。

「磐座組から十名のものにヤギラのあとを追わせろ。まだ疵も癒えておらぬのに女連れではそう遠くへはゆけぬはずだ」

 ハバキは次々と十名の名前をあげた。小楯は命令を復唱し、出ていった。

「満月が近づいたら逃げるよう、呪をかけられていたのかもしれぬ。でもなぜよりによってアゲハを――」
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