禍津姫戦記
 ハバキがぐいと姫夜の腕をつかんだ。

「間違えるな。このいくさの真の敵はヤギラではない。おまえにもしものことがあれば多くの兵が死ぬことになる」

 黙って聞いていた那智が立ち上がった。

「わたくしが参りましょう。ヤギラがふたたび変化するのを見抜けなんだは、わたくしの落ち度。日がのぼれば妖しの動きも鈍ります。なんとか動きを封じ、兵士たちに捕らえさせまする」
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