禍津姫戦記
 ハバキは蛇神の剣の柄に手をかけ、油断無く、内と外とにむかって視線を走らせた。

「来たぞうっ」

「化け物だ。こっちへ走ってくる――」

 囲みの外から悲鳴とどよめきが起こった。
 木々の間に、真っ黒なかたまりが、つむじ風のように外の結界を突き破ってこちらへ向かってくるのが見えた。
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