禍津姫戦記
 舞い終えた姫夜は、燭の火をたずさえたクラトに案内され、館の外にめぐらされた長い廊下を渡っていった。クラトの背中はがっちりとして、どことなく沢にすむカニを思わせた。髪は後ろになでつけてきっちりとひとつにまとめられ、乱れがない。
 通された部屋は、小さいが、床も磨き上げられ、清々とした空気に満ちていた。
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