禍津姫戦記
「山から注ぐ川の流れはゆたかな恵みももたらすが、たびたび氾濫し、土地のものをおびやかしている。荒ぶるカミガミをしずめることも長たるもののつとめだ。
 だが俺は武人だ。祈り方も知らぬ。祈るのはカンナギのつとめだが、どの里でも、クニツカミを祀らねばならぬ巫女やカンナギが、モモソヒメの呪詛の力におびえ逃げ出している」

 姫夜は黙ってうなづいた。ヒュウガでも最後までモモソヒメに屈しなかったのはワザヲギの民だけだったのだ。
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