禍津姫戦記
 三人があわただしく館の門を入っていくと、館の前で骨と皮ばかりに痩せ、みすぼらしいなりをした老人を、若者たちが取り囲んでいるのが見えた。

「呪詛に見せかけたキビの兵の仕業ではないのか」

「そうじゃ、奴らのやりそうなことじゃ」

「季節はずれにヒョウが降ったり、三本足のヒナが生まれたのまで、人の仕業だというか! これはよそものが運んできた呪いじゃ。今まで風ノ森には、よそものは断じて入れてこんかった。だがカツラギはどうじゃ。しょっちゅう西から人が来よる」
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