禍津姫戦記
「何だと、もういっぺん云うてみろ。老いぼれとて容赦はせぬぞ」

「やめよ」

 ハバキが一喝し入ってゆくと、その場にいた若者たちは押し黙って、こぶしを胸にあてて頭をさげた。クラトが大声で云った。

「若長が戻られた。何があったのか、最初から順序立てて申してみよ」

 老人は振り返り、何事かハバキにむかって云おうとしたが、開き賭けた口があんぐりと開き、あごががっくりと落ちた。
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