禍津姫戦記
「どうした」

「勝手に倒れおったぞ」

 何人かがあわてて頬を叩いたり、手足をさすったりし始めた。ハバキが大声で命じた。

「このものを奥の間へ運んで介抱してやれ」

 一番近くにいた二人の男が即座に、老人をかつぎあげた。

「クラト、おまえはあの老人がした話を最初から聞いていたか」
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