禍津姫戦記
ヒュウガで神門にとびこんだ時は夜明けごろだったのに、日は空の西に傾きかけて青い闇に包まれていこうとしている。
見えている山々の形も配置も違う。ヒュウガでは空は広く、山はなだらかだったのに、ここでは山が折り重なり、青垣のように見える。
ここへ来てから気を失っていたのか。
空気は夜気をふくんで、しっとりと冷たく、吸いこむと緑の匂いでむせ返るようだ。
「答えよ。俺がここに来た時には、水の女神にかけて人の姿はなかった」
男がするどく繰り返した。
見えている山々の形も配置も違う。ヒュウガでは空は広く、山はなだらかだったのに、ここでは山が折り重なり、青垣のように見える。
ここへ来てから気を失っていたのか。
空気は夜気をふくんで、しっとりと冷たく、吸いこむと緑の匂いでむせ返るようだ。
「答えよ。俺がここに来た時には、水の女神にかけて人の姿はなかった」
男がするどく繰り返した。