禍津姫戦記
「それを我らのせいにされては捨て置くことはできぬな。この目で確かめたい。クラト、案内せよ。姫夜、ともに来い」

 姫夜は呪縛が解けたようにうなづくと、ハバキのあとについてその場を離れた。あそこにいたものが何人、老人の言葉をはっきりと聞き取ったかわからぬが、その目に浮かんだ恐怖の色はすべてのものが見ている。
 あの老人が眼をさませば、また何を叫び出すかわからない。
 今、姫夜が信じられるのはハバキだけだった。
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