禍津姫戦記
 姫夜は紅玉を首からはずし、おのれの前にぶらさげた。東から南、西へと体の向きをすこしずつ変えてゆく。――と、こめかみを殴られたような衝撃に襲われ、ふらついた。
 ハバキの手にがっしりと肩をささえられていた。

「丑寅の方角に穢れの源を感じる。探しにいかねば……」

「今日はもう無理だ。ひどい顔をしている。俺の馬に乗れ」
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