禍津姫戦記
 ハバキは先にひらりとハヤテにまたがって手を差し出した。それでも姫夜がためらっていると、クラトが馬の足許に膝をつき、両手を組みあわせて差し出した。

「どうぞ、左のおみ足をお乗せください」

「すまぬ」

 姫夜は頭をさげ、おそるおそるクラトの手に足を乗せた。たちまち逞しい手で馬上に引っ張り上げられた。
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