溺愛MOON
月下のしずく
6月とはいえまだまだ夜風は涼しいよく晴れた星の綺麗な夜だった。


人気のない海水浴場の砂浜で、私は座って空を見上げていた。

傍らにはビール。


涼やかな海風が髪をさらって、アルコールで火照った頬を撫でていく。

これって最高の贅沢。


私は砂浜でひとり晩酌をするのが日課になっていた。


だってこの島には飲み屋らしい飲み屋は一軒しかない上、島のおじさん達が入り浸っていてとても私が行けるような場所じゃない。

それにここならすぐに家に帰れるから足元がおぼつかなくなるまで飲んでも大丈夫。


若い女が夜に外でビール飲んでいても、変質者の心配しなくてもいいのがこの閉鎖された離島のいいところかもしれない。


たまに観光で来ている宿泊客が散歩しているけど、それ以外で滅多に人と会うことはない。

その夜も私、一人……だった。
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