溺愛MOON
近づく境界線
台風以来少なくなっていた客足も夏休みに入ると回復し、島は繁忙期に入っていた。
島の片づけは終わったけれど、高橋さんの足はなかなか治らずに、私は未だに高橋さんの元へ通っていた。
そんな時だった。
彼が島にもう一度現れたのは。
以前、スーツで訪れた男女二人組の片割れ。
ハンカチで汗を拭きながら、カウンターに居る私に話しかけた。
「暑いねー。涼める所、ない?」
「喫茶店ならここを出て、右方向に歩いたところにありますよ」
「アイス食いたい」
「アイスもあると思いますよ。カキ氷も」
前まではツンケンした女の人の印象が強すぎて、全然目立たなかった彼も、今日は彼女が居ないせいか饒舌だった。
「カキ氷、いいね。買ってきてあげようか?」
「え」
あまりに魅力的な提案に、一瞬顔を輝かせてしまった。
だって、この暑さ。観光案内所にクーラーは効いてるけど、カウンターを開けてる間はすごく暑い。
島の片づけは終わったけれど、高橋さんの足はなかなか治らずに、私は未だに高橋さんの元へ通っていた。
そんな時だった。
彼が島にもう一度現れたのは。
以前、スーツで訪れた男女二人組の片割れ。
ハンカチで汗を拭きながら、カウンターに居る私に話しかけた。
「暑いねー。涼める所、ない?」
「喫茶店ならここを出て、右方向に歩いたところにありますよ」
「アイス食いたい」
「アイスもあると思いますよ。カキ氷も」
前まではツンケンした女の人の印象が強すぎて、全然目立たなかった彼も、今日は彼女が居ないせいか饒舌だった。
「カキ氷、いいね。買ってきてあげようか?」
「え」
あまりに魅力的な提案に、一瞬顔を輝かせてしまった。
だって、この暑さ。観光案内所にクーラーは効いてるけど、カウンターを開けてる間はすごく暑い。