溺愛MOON
かぐやの白いTシャツの胸辺りに当たったバッグはボトリと地面へと落下し、バラバラと中身が散らばる音がした。
かぐやは痛いというよりも驚いた表情で私を見た。
「かぐやじゃん……っ!」
「香月?」
「私じゃなくてもいいのは、かぐやの方じゃんっ!」
私を島に居る間の暇つぶし程度にしか考えてないくせに、連絡先も本名も教えないくせに、私を支配しようとするかぐやが酷く自己中に思えて、腹が立って仕方がなかった。
そのまま部屋へ逃げ込みたいのにあいにくカギはかかったままだ。
無理にこじあけようとボロい木製の扉をガタガタと揺すり、駄目だと分かると私は海へと走り出した。
海岸へ降り、砂に足を取られながら波打ち際まで走った。
真っ暗闇の中、ヒールのサンダルが足首まで埋まる。
「うう~……っ」
追いかけて来る様子もないかぐやに、バッグを持っていないから携帯の明かりすら取れない自分の無様さに、
真っ暗な波打ち際にしゃがんで声を殺して泣いた。
かぐやは痛いというよりも驚いた表情で私を見た。
「かぐやじゃん……っ!」
「香月?」
「私じゃなくてもいいのは、かぐやの方じゃんっ!」
私を島に居る間の暇つぶし程度にしか考えてないくせに、連絡先も本名も教えないくせに、私を支配しようとするかぐやが酷く自己中に思えて、腹が立って仕方がなかった。
そのまま部屋へ逃げ込みたいのにあいにくカギはかかったままだ。
無理にこじあけようとボロい木製の扉をガタガタと揺すり、駄目だと分かると私は海へと走り出した。
海岸へ降り、砂に足を取られながら波打ち際まで走った。
真っ暗闇の中、ヒールのサンダルが足首まで埋まる。
「うう~……っ」
追いかけて来る様子もないかぐやに、バッグを持っていないから携帯の明かりすら取れない自分の無様さに、
真っ暗な波打ち際にしゃがんで声を殺して泣いた。