溺愛MOON
最後まで知らないフリをするかぐやが憎らしくて、私は顔を埋めた首筋に歯を立てた。

そのまま強く吸い付いて痕を残す。


「痛ッ。……何?」

「……マーキングだよ。私のだって印」


鼻をすすって顔を上げるとかぐやは本当にいつも通りの顔をしていた。


私の台詞に反応してちょっとだけ口端が上がる。


「俺も付けていい?」


自分からしたことなのにそれが終わりのサインのような気がして、私の瞳からはまた涙が零れた。


かぐやが私の服に手をかける。


「いっぱい付けて」


私は泣きながらかぐやに身を任せた。


かぐやは優しく私の服を脱がせた。

これが最後になる……、そう思うと涙を止めることができなかった。


かぐやはいつも以上に丁寧に私を抱いてくれた。
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