溺愛MOON
君にサヨナラを
かぐやは次の日の朝、船でこの島を立った。
稲垣さんも一緒で、まるで付き人のようにかぐやの荷物を持ってキビキビ歩く彼の後ろを、だらだらと歩くかぐやは、やっぱりいつものかぐやのままだった。
私は観光案内所から出て、桟橋までかぐやを見送った。
さすがにここでは人の目があるから、抱きついたりできない私はかぐやと握手を交わした。
熱くも冷たくもないかぐやの手の平。
「かぐや……」
中条さんが見てたけど、涙を堪えることまではできなかった。
「七海」
「え?」
「苅谷七海(かりやななみ)って言うんだ、俺の名前」
「七つの海で七海……?」
「あぁ、女みたいだろ」
そう言ってちょっと照れてるみたいに微笑うかぐやが可愛かった。
稲垣さんも一緒で、まるで付き人のようにかぐやの荷物を持ってキビキビ歩く彼の後ろを、だらだらと歩くかぐやは、やっぱりいつものかぐやのままだった。
私は観光案内所から出て、桟橋までかぐやを見送った。
さすがにここでは人の目があるから、抱きついたりできない私はかぐやと握手を交わした。
熱くも冷たくもないかぐやの手の平。
「かぐや……」
中条さんが見てたけど、涙を堪えることまではできなかった。
「七海」
「え?」
「苅谷七海(かりやななみ)って言うんだ、俺の名前」
「七つの海で七海……?」
「あぁ、女みたいだろ」
そう言ってちょっと照れてるみたいに微笑うかぐやが可愛かった。