溺愛MOON
ポカンとする私を尻目に、中条さんはどんな手を使ってかぐやをものにしたのかとか、私のようなのを床上手って言うんだとか、よく分からないセクハラ発言を繰り返していた。


その日の帰り、私は役場のインターネットで「苅谷七海」の名前を検索した。

本名で検索して情報が出てくるかは分からなかったけれど、多くのニュース記事がすぐにヒットし、「苅谷七海」についての情報はネットの世界で氾濫していた。


弱冠20歳で有名な権威ある文学賞を受賞し、華々しく文壇デビューしたこと。

次に出した本もミリオンセラーを記録したこと。

その後小説界から忽然と姿を消して2年が経つこと。


え……、1個下……?

絶対もっと年下だと思ってたよ……。


そしてファンサイトの書き込みにもかぐやのことが書いてあった。


汚い大人たちの世界で金の為に「書かされる」ことが苦痛で書くことができなくなったこと。

それでも金になるかぐやの存在に無理矢理書かせようとしているとか、出版社がかぐやを取り合ってるとか。
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