溺愛MOON
……なんだ。


夢と現実を彷徨っていた思考が一気に現実へと引き戻される。


プランクトンか。


『この世に起こりうる全ての現象は科学的に説明することができる』


そんな文句が頭に浮かぶ。


がっかりだ。

私は得意げに夜光虫の話を続ける中条さんを一瞥すると窓口の外へと向き直った。


船は1時間に2本しか来ないからこれから20分間は暇なものだ。


私は両肘を机について、頬杖にして目を閉じた。


浮かぶのは青い光と白い喉元。


でも彼は海からやってきて――、

やっぱりプランクトンを引き連れて現れた人魚姫なのかもしれない。
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