溺愛MOON
「こ、こんにちは!」


私がつんのめるようにしてかぐやの隣に並ぶと、かぐやはビクッと小動物のようにその身体を震わせた。

そして私の姿を見るとはぁ、と息を吐いた。


「今、安心した!」

「は?」

「私だって分かって安心したでしょ!?」


興奮を抑えられず得意げにそう指摘すると、かぐやは心底嫌そうな顔をして私から視線を逸らした。

でも私は否定しないってことは図星だったんだと心の中でほくそえんだ。


かぐやの中で私は警戒対象に入らないんだと思うと嬉しい。


「何してるの?」


かぐやの手にはガラスの瓶が握られていた。

ビール瓶くらいの大きさで透明なそれには白い紙が折りたたまれて入っていた。
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