溺愛MOON
「何それ?」

「メッセージボトル」


かぐやは私を見ずに手の中の瓶を見つめて答えた。

確かに瓶には丸められた手紙が入っているようだった。


「流すの?」

「あぁ」

「"誰か助けて"って?」

「……そんなこと書いてない」


かぐやは少し不貞腐れたように言った。


かわいい。

私は頬が緩みそうになるのを懸命に押さえた。


かぐやは私が友達の中で浮いてるって言ったけれど、彼も絶対そうだと思う。

今時の男の子がメッセージボトルなんてやるとは思えない。


私はそんな彼をやっぱりとても素敵だと思うのだった。
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