溺愛MOON
かぐやはさっきと同じ場所に佇んでいた。

メッセージボトルはまだ彼の手に持たれていた。


意外と律儀な性格らしい。


「……ほんとに待っててくれたの?」

「……香月が待てって言ったんだろ」


香月。

彼の名前から出る私の名前にドキリと胸が高鳴る。


私の名前、覚えてくれたんだ。


こんな風にときめくのは随分久しぶりな気がした。


私に興味がない男の子に。

もしかしたら高校生かもしれない男の子に。

そう思うと恥ずかしくなって私は赤くなる頬を押さえて俯いた。


セミロングの髪がサラサラと頬に落ちて私の表情を隠してくれる。

そっと頬を緩めて喜んだ。
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