溺愛MOON
かぐやはそんな私に気づくこともなく、砂浜にしゃがみこんだ。

メッセージボトルを水に浸している。


けれどボトルは寄せる波にさらわれて砂浜に打ち上げられる。

かぐやはそれを拾ってまた海の水に浸す。

そんな行動を5分くらい繰り返した。


私は突っ立ったままかぐやの行動を見守ってて――、笑いを堪えるのに必死だった。


もしかしたらかぐやは相当天然なのかもしれない。


「あの、かぐや。もっと遠くに浮かべないと流れて行かないと思うよ?」


私は笑いを堪えてはいたけれど、声には笑いが含まれてしまったみたいで――、かぐやはムッとして声を上げた。


「分かってる」


そのまま瓶を掴んで持ち上げると、おもむろにざぶざぶと海へ入って行ってしまった。

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