溺愛MOON
「じゃあどうしたいの……?」

「かぐやを助けてあげたい……」


催眠術にでもかかったかのように促されるままに思ったことを口にするとフッと馬鹿にしたように笑われた。


「へえ。どうやって?」

「分からない……」


お前になんかできるわけない、そんな気持ちが伝わってきて鼻の奥がツンとなった。


本当に。私は何を言ってるんだろう。

私には何もできないのに。

何も持っていないまま島に逃げてきたくせに。


「香月に何ができる?」

「何もできない……」


認めると目の端からポロリと涙が一粒転がり落ちた。

それを見てかぐやが鬱陶しそうに目を細める。


親指の腹で乱暴に目元を拭われた。


「じゃあさ、教えてあげようか」
< 67 / 147 >

この作品をシェア

pagetop