溺愛MOON
でもこの島では誰も日傘なんか差してないみたいだけど、場違いで目立つかな……。

いや、でも20歳過ぎたしもう焼きたくないしな。


ついでに日傘も持って行こう。


「……早く帰らなくちゃ」


長屋に入り込んで、手早く着替えをすませながら、誰に言うでもなく、呟く。


……帰るって、プレハブ観光案内所に?

元いた職場に?


それとも、田舎に?


……早く、帰りたい。


王子様が来ないかなぁと思う。

もう23だしそれなりの経験をしてきてまだそんなこと言うのはバカげてるって分かってる。


それでも私にとっては今この状況が既に現実離れしてるんだから。


いっそのことどっかの国の王子様がこの島にバカンスに来て、私を見初めてくれないかなぁと思う。

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