うちあげ花火

店員の手によってガコンッと二つのジョッキがテーブルに置かれる。

それで私たちはなぜか「乾杯」と言って飲み始めた。


「千晴ちゃんは編集者になりたくてこの学校に入ったの?」


ビールをぐびぐびと飲む彼が聞く。


年上に聞かれるとどうしても面接を意識してしまう。


「うん。ファッション誌の編集がやりたくって」


「ファッション誌かぁ。ファッション誌っていってもいろいろジャンルやるよね〜」


「20代向けのファッション誌かな?」


「“ルータ”とか?」


「そうそう!」


彼が私が興味ある雑誌を一発で当ててきてテンションが上がった。


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