ねぇ、すき。
あの子、とは別に。
「………ホントに、ただすきなだけだったんだけどな。」
乾いた笑いが闇に響く。
彼女は黙って、ただ隣にいてくれる。
それがどうしようもなく安心できて、独りじゃないことに安堵する。
―――ねぇ、すき。
ずっと、あの子よりもずっと、すきだったの。
ただ、純粋にすきだったの。
でも、もう今を想えない。
だから、少しでも過去を想わせて。
すきだったの。
すきだったよ。
カタチだけでもカコケイ、にさせて。
―――ねぇ、すき。
ただ、これだけを言わせて。