放課後センチメンタル


――彼女は泣いていた。

声も出さず、溢れる涙を拭うこともしないまま、まっすぐに前を向いて。


なぜだろう。

僕は胸が締め付けられるような思いがした。


夕日に照らされた彼女は、涙を流す行為でさえも綺麗で。
……その姿に見とれて。

力が抜けたように肩にかけていた鞄をドサリと落としてしまった。


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