放課後センチメンタル
「……ヒック、」
「……どうした?」
二度目も無視したけれど、これでも年の離れた可愛い妹。
横ですすり泣く声を聞いて、さすがに構わずにはいられなかった。
本を持ち上げて美都に向くと、大きな瞳を涙で潤ませている。
少し色素の薄いくりっとした瞳でお人形みたいに可愛いと近所では評判だ。
「みとのお絵かきちょう……」
「お絵かき帳?」
落書きじゃなくて?
喉まで出かかった咄嗟のツッコミは留めておいたけれど。
聞けば、いつも美都が使っているスケッチブックが無いらしい。
父さんが買ってあげたそれを美都は大事にしていた。
……大事にしていたけれど、無くした。