放課後センチメンタル


「想って……」



“後悔”とか“責任転嫁”とか。
そういう気持ちは一旦忘れよう。

ただ純粋に。



「椿さんは、泣いて良いんだ」

「……ぁきっ……」



大粒の涙が彼女の頬を濡らす。


声は掛けない。
手も差し伸べない。

ただ、見つめて。

彼の名前を何度も呟きながら涙を流す姿が、僕の目に焼き付いた。


彼女が彼を想っている分だけ、彼も彼女を想っていた。

ーーいや、“僕の世界は君で溢れている”なんて、もしかすると彼の方が……とも考えたけれど、きっと彼女の心に伝わったことが全てなのだろうと納得した。

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