放課後センチメンタル
ところが、一瞬で表情は曇ったように。
彼女は俯いてしまった。
流れる沈黙に、僕は何かまずいことを言ったのかと不安になる。
「……右京君、ありがとう」
しばらくして彼女が口を開いた。
「椿さ、」
「でも、貸してくれなくて良いわ。せっかくの好意だけど」
ごめんなさい、そろそろ本当に帰るね。
そこまでを一気に言って、彼女は足早に校内に消えていった。
残された僕は、バタンと音を立てて閉まったドアをただ、眺めていたーー。