放課後センチメンタル
《7》思いがけない事
それは今日二度目の突然だった。
「右京君」
聞き慣れた呼び方と声。
この教室で右京はただ一人しかいないけれど、僕に向けられたものだと気づくのには少しの時間がかかった。
初めてだったからだ。
彼女が教室で声をかけてくれるなんて。
ひまりの悪戯よりもはるかに大きな驚き。
「……椿さん、」
読んでいた本をパタンと閉じる。
彼女はもう一度右京君、と呼んだ。