放課後センチメンタル


「……送ってくれてありがとう」



ーーその言葉が合図のように。

またねの言葉の後、再び歩き出した彼女の腕を引っ張った。



「……右京君、」

「椿さんが、好きだ」



それ以外になかった。

さっき彼女に最低なことをしたという自覚はあったけれど。


ただ、彼女に僕を見てほしくて。



「……その気持ちには応えられない」



穏やかに、けれどもはっきりとした口調だった。

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