放課後センチメンタル
《12》過去と、 想い出
放課後。
HRの後早々に帰る準備をした僕は、真っ直ぐに屋上へと向かった。
彼女がいるかもしれないという思いよりはむしろ、それが当たり前にになっていたからだ。
……そこにほんの少しの期待があったことは否定しないが。
ギィ、と重いドアを開ける。
照りつける日差しが眩しくて焼けるように暑かったけれど、吹く風は涼しくて心地良くもあった。
いつもの定位置に、目に入った後ろ姿。
それは紛れもなく彼女だった。
一歩歩み寄る。
ーーきっと、耳に届いているであろう噂を彼女はどう感じたのか。
「……椿さん」
声をかけると彼女はすぐに此方を向いた。
「右京君」