ひとつ屋根の下。
お引っ越し
「お母さん!何で私の荷物がないの…!?」
「お父さん居なくなっちゃったから、お引っ越しするのよ。荷物はもう送っておいたから。」
テへ☆というように笑う自分の母、真由子。
そんなお母さんにに私はただ呆然とするばかり…。
能天気なのは知ってたけど、まさかここまでとは…。
「待って…っ、私引っ越しなんて―――」
嫌、と言おうとしたけど、言えなかった。
それはお父さんと離婚をして、お母さんが苦し想いをしていたことを思い出したから…。
もしかして…引っ越すっていったのもそのせい…?
家計だってツライ。寂しい。
そう思ってるんじゃないかって、私は言葉を飲み込んだ。
「………分かった。」
「ありがとう、樹奈!」
相変わらずのテンションだけど、嬉しそうに微笑むお母さんをみてたらこっちまで嬉しくなった。
……うん、頑張らなきゃ。お母さんのためだもん。
―――これが私たちの引っ越しのキッカケでした。
まだこの時は、これからの事を予測できるはずは無かったけど……。