ソラナミダ
「すげー星…。」


「でしょ?ここ、私の特等席。」


「ははっ間違いないな。」


月明かりに照らされたハルミくんの横顔は……


普段よりも、より綺麗に見えた。


ハルミくんだけが持つ、独特の空気と存在感…。



「……どうした?」


私の視線に気づいたのか、彼は少し照れ臭そうに笑った。


かわいい…

こんな表情もするんだ……。


「…ねえ。例えばさ、例えばだけど…自分の友達が、変えることのできない過去をずっと忘れられなくて苦しんでいるとしたら、ハルミくんならどうしてあげる?」


「『友達』…?」


「…うん。」


「そうだな…。前に進めるように、道しるべってか…一緒に考えたり、一緒に過ごしていく中で見つけてあげたいかな。」


「…そっか…。」


「身近にいるの?」


「ん。」


「その人に、そーゆー人が近くにいるといいね。」


「……そうだね。」



…いないんだ。


近くには、いない。




だから私は…


いつまでたっても前に進めないのかな…。




「…平瀬さん。明日、めざめテレビ見て。」


「…?見るよ?」


「じゃあ…俺、これから仕事だから行くね。」


「え…?また仕事?」


「うん。仕事好きだから。…じゃあ、また。」


「うん。またね。」




ハルミくんといると…


ちょっとだけ、ホッとする自分がいる。


そんな人が隣りにいるって思えば、私も少しは強くなれるかな…。



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