ソラナミダ
「…うん。玉砕しに。」
「……それをわかってでも…行くのか?」
「……うん。」
「自分が傷ついてでも?」
「……うん。」
「……。仕事を言い訳にされた方が…どんなに楽だったろうな。」
「………。」
「わこの異変に気づいていたのに……、何もできなかった。物分かりのいいフリをして、結局…、逃げてしまっていたのか…。」
「…………。」
「こんなの言えた柄ではないけど…、わこ、お前…後悔するよ。」
「…わかってる。でも、何もしない方がきっと…後悔する。」
「残酷なこと言うな。」
「……ごめんなさい。」
「お前はいつもそうだ。俺に振り向いたようでいて…そうじゃない。いつも一人でそうやって…戦おうとする。」
「…そうかな。」
「そうだ。」
「………そっか……。」
両親を失って、手を差し延べてくれた貴方を…
こんな形で失うのは、辛い。
正直……どうなってしまうのだろうと思う。
けれど、今私が必要としているのは……
紛れもなく、
あの人………、
………晴海くんだ。
「……今までありがとう。」
ありったけの気持ちを込めて。
私は……
深く、深く……
アタマを下げた。
踵を返すその時に、
博信の頬にひと筋流れるものを……
視界の端で見てしまった。
自分勝手で、我が儘な私に翻弄されて、
路頭に迷わせる訳には…いかない。
未来に期待された彼ならば……、
もっともっと高みに行ける。
その妨げになっていたのは……
私。
………サヨナラ……、
サヨナラ…、博信…。