ソラナミダ






中傷のFAXのことについては、もう誰も言及しなかった。



他の社員が私をどう見ているかは…、わからない。


けれど、それでも。


逃げずに……いくしかない。




一方で、


メディアはいちかさんの件を騒ぎ立て…。


公の場に顔を出した彼女が「体調不良だった」と深々と頭を下げて謝罪する姿を見ては…どこかで蔑んでしまう自分がいた。


晴海くんの側にいる彼女が…羨ましかったのかもしれない。


彼女が私を妬んでいたであろうその気持ちが……



嫌でもわかってしまった。




晴海くんだって、あの日…仕事をすっぽかしたはずだった。


なのに……。



彼に関する報道は、何も…ない。



業界の事情とか、ナニカが……水面下で働いたのであろう。



幾分か…、



複雑な思いであった。







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